行政書士が解説|持続化補助金の対象者チェック(個人事業主・法人)あなたは申請できる?

持続化補助金の対象者チェック(個人事業主・法人)あなたは申請できる?
対象者判定の要点を整理し、落とし穴(従業員数・法人類型・支配関係・所得要件)をステップ式で確認できます。
【2026年3月3日更新】
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化の取り組みに対して補助が受けられる一方で、「そもそも対象者に当てはまるか」の判定でつまずく方が少なくありません。個人事業主と法人で確認ポイントが少し違い、さらに従業員数の数え方や、対象外となる法人類型などの落とし穴もあります。
この記事では、対象者判定を自分でチェックできるように、要件を整理して解説します。対象者判定がクリアできれば、次は計画書の質を上げる作業に集中できます。
目次
1. 対象者チェックの結論
1.1 まず満たすべき3条件
持続化補助金(一般型・通常枠)で、対象者として基本的に求められるのは次の3点です。
(1) 小規模事業者であること(業種ごとの従業員数要件を満たす)
(2) 法人のみ:大企業に100%(直接または間接)で支配されていないこと
(3) 法人のみ:直近過去3年分の課税所得の年平均が15億円を超えていないこと
個人事業主の方は、基本的に(1)が中心になります。法人の方は(2)(3)もセットで確認が必要です。
1.2 個人事業主と法人で、何がどれだけ違う?
混乱しやすい点を先に整理すると、次の通りです。
個人事業主
・小規模事業者に該当するか(従業員数)
・事業実態があるか(申請時点で事業を行っているか)
・商工業者に該当するか(一次産業等は要注意)
法人
・上記に加えて、株主構成や親会社との関係(100%支配の有無)
・課税所得の規模(3年平均15億円超の有無)
・法人類型が対象に含まれるか(一般社団法人等は対象外)
2. ステップ式:あなたは申請できる?対象者セルフチェック
2.1 ステップ1:申請時点で「事業実態」があるか
最初に確認したいのは、制度が想定しているのが「既に事業を営んでいる小規模事業者」である点です。次のようなケースは、対象外になったり、少なくとも追加説明や確認が必要になりやすいので注意してください。
・申請時点で開業していない(開業予定、準備中)
・名義だけで実態のない事業(活動履歴や取引の裏付けが薄い)
・売上が全くない状態が長く続いており、稼働実態が説明しにくい
ポイントは、売上の多寡ではなく「事業として動いている説明ができるか」です。取引の証跡(請求書、領収書、契約書、見積、入金記録)、活動の記録(販促物、HP、SNS、出店履歴等)があると説明がしやすくなります。
2.2 ステップ2:業種の区分を確定する(従業員数の上限が変わる)
小規模事業者かどうかは、業種ごとの「常時使用する従業員数」で判断します。基準は大枠として次のイメージです。
(1) 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 5人以下
(2) 宿泊業・娯楽業 20人以下
(3) 製造業その他 20人以下
ここでの落とし穴は「自社の業種がどれに入るか」を曖昧なまま進めてしまうことです。たとえば次のような混乱が起きがちです。
・店舗型のサービス業だが、実態は製造もしている
・ITサービスだが、販売(物販)もしている
・飲食に付随して物販やECも行っている
実務的には、主たる事業(売上や活動の中心)で整理しつつ、複数事業がある場合は説明できる形にまとめることが重要です。迷う場合は、早めに商工会・商工会議所へ確認して、判断軸を固定しておくと後のやり直しが減ります。
2.3 ステップ3:「常時使用する従業員」の数え方が正しいか
従業員数の誤りは、対象者判定で一番多いミスです。ここで言う従業員は、単なる在籍人数ではなく「常時使用する従業員」です。
典型的にカウントに入るケース
・期間の定めのない雇用契約で継続的に働いている
・フルタイムに限らず、週数回でも継続雇用の実態がある
原則として含まれない例(代表的なもの)
・日雇い労働者
・2か月以内の期間を定めて使用される者
・季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
・試用期間中の者
注意したいのは、賃上げ特例や賃上げ加点など、別の制度要件で見る従業員の考え方と混同しないことです。対象者判定は「小規模事業者に当たるか」の基準で見ます。
具体例で確認(よくあるパターン)
例1:飲食店(サービス業、宿泊・娯楽以外)
・正社員2名、パート3名(継続雇用)、短期アルバイト(1か月)2名
この場合、短期アルバイトは原則除外になりやすく、正社員2+継続パート3=5人として扱われる可能性が高く、5人以下なら基準を満たす方向です。
例2:製造業
・正社員15名、季節雇用(3か月)8名
季節雇用が季節的業務に該当し、期間も短い場合は除外になり得ます。正社員15名で20人以下なら基準を満たす方向です。 実際の判断は雇用実態により変わるので、雇用契約書や労働条件通知書、勤怠の状況など、説明できる材料を揃えるのが安全です。
2.4 ステップ4:あなたの「事業者の形態」は対象に含まれているか
対象者は、単に小規模であれば良いわけではなく、法人類型や業種(資格職など)で除外されるものがあります。ここは、申請準備に入る前に必ず確認してください。
対象となりうる者(代表例)
・株式会社、合同会社などの営利法人
・企業組合、協業組合
・士業法人(制度上対象に含まれる類型がある)
・個人事業主(商工業者であること)
・一定の要件を満たす特定非営利活動法人(NPO)
対象にならない者(代表例)
・医師、歯科医師、助産師
・一般社団法人、一般財団法人(公益社団・公益財団を含む)
・医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人 など
NPOが対象になり得るケースの注意点
NPOは「一定要件を満たす場合に限り対象」と整理されることが一般的です。たとえば次のような観点で見られます。
・収益事業を行っていること(法人税法上の収益事業)
・確定申告書の提出ができること(免税等で提出できない場合は注意)
・認定NPO法人ではないこと など
NPOで検討している場合は、要件が細かくなりやすいので、早めの一次判定をおすすめします。
2.5 ステップ5:法人は追加で2つチェック(支配関係と所得要件)
法人は、小規模要件に加えて、次の2点が重要です。
大企業に100%支配されていないか
資本金・出資金が5億円以上の法人が、株式を100%(直接または間接)で保有している場合は対象外になる方向です。ここでいう「間接」には、親会社の親会社などを通じた支配も含まれるため、グループ関係がある場合は要注意です。
実務での確認資料例
・登記事項証明書
・株主名簿(株式会社の場合)
・出資関係が分かる契約書や組織図
直近過去3年分の課税所得の年平均が15億円を超えていないか
多くの中小企業では該当しにくい要件ですが、グループ会社や規模が大きい法人では確認が必要です。「売上」ではなく「課税所得」が基準になる点がポイントです。経理や税理士と確認しておくと安心です。
3. 個人事業主の追加チェック:商工業者かどうか
個人事業主は「商工業者」に該当することが前提になります。典型的には、店舗・サービス業・製造・建設・IT・士業の個人開業などは該当しやすい一方で、一次産業のみの場合は判断が難しいケースがあります。
3.1 一次産業が絡む場合の考え方
たとえば農業そのもの(作物の生産)だけでなく、加工(ジャム製造、惣菜加工)、飲食提供(農産物を使ったカフェ運営)、体験サービス(観光農園)など、商工業的な活動が実態としてあるかがポイントになります。
3.2 開業届を出しているだけでは安心できない
開業届があっても、申請時点で事業実態の説明が弱いと、手続きが止まりやすくなります。最低限、活動実態を示せる材料を揃え、計画書と矛盾がないようにしておきましょう。
4. 実務で多いNG例
4.1 従業員数のカウントを甘く見てしまう
対象者判定の根幹なので、雇用形態ごとに整理して「常時使用」に該当するかを確認してください。カウントが微妙な場合は、資料を揃えた上で窓口確認を挟むのが安全です。
4.2 申請締切だけ見て、対象者判定の確認が遅れる
対象者判定が曖昧なまま進めると、商工会・商工会議所への相談や様式4の発行手続きが後ろ倒しになり、結果として申請機会を逃す原因になります。対象者判定は、計画書作成より先に終わらせるのが鉄則です。
4.3 法人の支配関係を見落とす
外部資本が入っている、親会社がある、グループ会社である場合は、早めに支配関係を整理してください。思い込みで進めると、後で対象外と分かって大きな手戻りになります。
4.4 対象外の法人類型なのに気付かない
一般社団法人、医療法人など、制度上除外される類型は一定数あります。法人の種類は登記簿で必ず確認し、対象類型に入るかを最初に確定してください。
5. 対象者判定ができたら次にやるべきこと
5.1 次は「採択される計画書」へ作業を移す
対象者要件を満たしたら、次は審査で伝わる計画書へ落とし込む段階です。持続化補助金は、誰でも自動的に採択される制度ではなく、審査を通過する必要があります。つまり、対象者判定はスタートラインで、本番は計画の組み立てと説明力になります。
5.2 早めの一次判定が、最終的な採択率にも影響する
対象者判定を早く終えると、次のメリットが出ます。
・計画書の改善に時間を使える
・見積や経費の整合チェックに余裕ができる
・加点や特例の該当性を前倒しで確認できる
・窓口相談の往復が必要でも期限に間に合う
逆に、対象者判定が後ろ倒しになると、最後は提出作業に追われ、内容の質が上がりません。
6. よくある質問
6.1 従業員が5人ぴったり(商業・サービス業)ですが申請できますか?
基準が「5人以下」であれば、5人は含まれます。問題は数え方なので、常時使用の定義に照らして5人かを確認してください。
6.2 個人事業主で売上がまだ少ないです。申請できますか?
売上が少ないこと自体で即対象外とは限りませんが、事業実態の説明が重要です。取引の証跡や活動実績を整理し、計画書が現実的な道筋になっているかがポイントです。
6.3 NPOですが申請できますか?
一定要件を満たす場合に限り対象になり得ます。収益事業の有無や申告状況など確認事項が多いため、早めに要件整理をおすすめします。
7. まとめ:対象者チェックができれば、採択に向けた本番はここから
持続化補助金の対象者判定は、最終的に次の3点に集約されます。
・業種ごとの従業員数要件(小規模事業者か)
・対象となる事業者類型か(個人事業主、営利法人、一定要件のNPOなど)
・法人なら支配関係と所得要件も満たすか
対象者要件をクリアできた方は、次は「経営計画と補助事業計画を、審査で伝わる形に落とし込む」段階に進みます。行政書士として、対象者の一次判定、従業員数や業種整理、法人関係の確認、計画の筋道整理、提出前の整合チェックまで、負担が大きい部分を実務として支援できます。
なないろバックオフィスでは、小規模事業者持続化補助金の事業計画書(様式2)の作成から、経費明細(様式3)の整理、採択後の実績報告まで、行政書士2名体制でサポートしています。 飲食・小売・サービス業・建設業など幅広い業種の支援実績があり、Webサイト制作から機械装置導入まで多様な補助事業に対応しています。 お困りの際は、お問い合わせフォーム・LINE・メールよりお気軽にご相談ください。
関連記事
この記事の執筆者

銀行・投資銀行での法人向け実務経験を経て、行政書士として従事。
正確性とスピードを重視し、申請から実績報告まで一貫支援します。
お問い合わせ・お申し込み
以下のフォームまたはLINEよりお気軽にご連絡ください。
原則24時間以内にご返信いたします(全国対応、無料相談、土日祝日可)。
LINEでのお問い合わせ・お申込みはこちらのQRより

