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持続化補助金で使える経費・使えない経費|ウェブサイト/広報/設備…活用例つきで行政書士が整理

持続化補助金で使える経費・使えない経費|ウェブサイト/広報/設備…活用例つきで行政書士が整理
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持続化補助金で使える経費・使えない経費(ウェブ/広報/設備を中心に整理)

判断軸は「科目」だけでなく、販路開拓・業務効率化への直結性、交付決定後の支出、証拠で説明できるか。迷いやすいポイントを具体例でまとめます。

【2026年3月11日更新】

持続化補助金は、経営計画に基づく販路開拓等の取組に必要な経費を支援する制度です。ポイントは、経費科目に当てはまるかだけでなく「その支出が販路開拓や業務効率化に直結しているか」「交付決定後の発注・契約・支払か」「証拠書類で実態が説明できるか」で判断されることです。第19回公募要領(第5版)では、対象経費は8科目に限定され、対象外となる典型例も明確に示されています。

以下、現場で迷いやすいウェブサイト、広報、設備を中心に「使える・使えない」を具体例で整理します(最終判断は必ず最新の公募要領で確認してください)。

1. まず押さえるべき前提ルール

1-1. 対象経費は8科目のみ

第19回では、補助対象となる経費は次の8科目です。これ以外は補助対象外です。

・機械装置等費
・広報費
・ウェブサイト関連費
・展示会等出展費(オンライン展示会・商談会等を含む)
・旅費
・新商品開発費
・借料
・委託・外注費

1-2. 補助対象になる経費の3条件

補助対象経費は、次の条件を満たす必要があります。特に「交付決定日以降」が最重要です。

・使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる
・交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払が完了している
・証憑資料等で支払金額が確認できる

1-3. 対象外が多すぎると不採択・採択取消のリスク

科目に入っていても対象外に該当する経費は認められません。さらに、計上経費の大半が対象外だと「円滑な実施が困難」として不採択・採択取消になり得る点は要注意です。

2. ウェブサイト関連費:一番問い合わせが多い科目

2-1. ウェブサイト関連費とは

販路開拓等のためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)の開発、構築、更新、改修、運用に要する経費です。

2-2. ウェブサイト関連費の重要制限(必読)

この科目には、他の科目にはない強い制限があります。

・ウェブサイト関連費だけでの申請はできない(他の経費と一緒に申請が必要)
・ウェブサイト関連費の申請額上限は、補助金交付申請額の4分の1(最大50万円)
・契約期間が補助事業期間を超えるソフトウェア使用権等は、補助事業期間分のみ按分

この「4分の1ルール」は、採択後の精算段階(補助金額の確定)で上限が効いてくるため、計画段階から「ウェブに寄せすぎない」設計が安全です。

2-3. 対象になりやすい具体例(ウェブ)

公募要領で例示されている内容は次の通りです。

・商品販売のためのウェブサイト作成や更新
・インターネット広告、バナー広告の実施
・インターネットでのプレスリリース配信
・ECモールのシステム利用料、商品の登録作業費
・電子パンフレット作成
・効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策
・宣伝用の画像作成、販売用の動画作成

活用例

・店舗:予約導線の改善、メニュー訴求ページ追加、FAQ整備で問い合わせ削減
・BtoB:資料請求LP、導入事例ページ、問い合わせフォーム最適化
・EC:商品登録の外注、決済導線の改善、購入後メールの整備

2-4. 対象外になりやすい具体例(ウェブ)

次のような支出は対象外になり得ます。

・ウェブサイトに関連するコンサルティング、アドバイス費用
・補助事業期間内に公開に至らなかった動画、ホームページ、ランディングページ
・有料配信する動画の制作費
・有料講座で使用する動画や電子教材の作成

現場での落とし穴

・「作ったけど公開が締切に間に合わない」→対象外
・「SEOコンサル費」→対象外(作業内容と成果物が明確なSEO施策として外注・実装に落とす設計が必要)
・「オンライン講座の教材動画」→対象外になりやすい(販路開拓の広告素材なのか、有料提供物なのかで線引きが変わる)

2-5. 広報費との境界(動画・映像は要注意)

ウェブや動画に関する広報費用は、原則ウェブサイト関連費で計上する整理です。一方で、街頭ビジョンやデジタルサイネージ広告など「屋外広告の掲載料」は広報費、掲載する映像や動画の制作費はウェブサイト関連費とされています。

▶ 関連記事:持続化補助金でHP/EC/SEOはどこまで対象?

3. 広報費:チラシ・広告・看板はOKでも万能ではない

3-1. 広報費とは

パンフレット、ポスター、チラシ等の作成や、広報媒体等を活用するための経費です。ただし「商品・サービスの広報」が目的であることが必要で、単なる会社PRや営業活動として扱われるものは対象外です。

3-2. 対象になりやすい具体例(広報)

公募要領の例示は次の通りです。

・新聞、雑誌等への商品・サービスの広告
・看板作成、設置
・試供品(販売用商品と明確に異なる場合のみ)
・販促品(宣伝広告が掲載されている場合のみ)
・郵送によるDMの発送
・街頭ビジョン、デジタルサイネージ広告への掲載

活用例

・飲食:新メニュー訴求チラシ、店頭看板刷新、折込+DMで新規獲得
・美容:新コースのリーフレット、サイネージ掲載で認知拡大
・製造:展示会前の業界紙広告、製品カタログ刷新

3-3. 対象外になりやすい具体例(広報)

公募要領で対象外例として挙がりやすいのは次の通りです。

・販促品(宣伝広告の掲載がないもの)
・名刺
・宣伝目的でない看板、会社案内パンフレット、求人広告(単なる営業活動として対象外)
・文房具等
・金券、商品券
・未配布、未使用のチラシ等
・補助事業期間外の広告掲載や配布
・フランチャイズ本部が作製する広告物の購入

設計のコツ

・「会社案内」ではなく「商品・サービスの訴求物」になっているか
・チラシは配布実績が説明できるか(配布先、部数、時期)
・販促品は必ず宣伝文言や商品名が入っているか

4. 機械装置等費:設備投資は通りやすいが、PCは原則NG

4-1. 機械装置等費とは

補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入費です。ただし、通常の事業活動のための費用や単なる取替え更新は対象外です。

4-2. 対象になりやすい具体例(設備)

例として、高齢者向け椅子、ショーケース、オーブンや冷凍冷蔵庫、試作機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンターなど)等が挙げられています。

重要なのは「販路開拓や業務効率化に結びつく説明」ができることです。

・新規顧客層の獲得のための提供体験を改善する設備
・新商品開発や提供能力を上げるための設備
・提供スピードや品質安定に効く設備

4-3. 対象外になりやすい具体例(設備)

特に誤解が多いのがPCや周辺機器です。公募要領では、パソコン、事務用プリンター、複合機、タブレット端末、WEBカメラ、Wi-Fi機器、ルーター等のPC周辺機器は「汎用性が高く目的外使用になり得るもの」として対象外例に列挙されています。

また、車両、自転車、文房具等も対象外例に含まれます。

4-4. 中古品の扱い(購入するなら要件に注意)

中古品は一定条件を満たす場合のみ対象になり、購入金額にかかわらず複数見積が必要など要件があります。
中古でコストを抑える設計は有効ですが、証拠書類が増えるため、準備工数も見込んでください。

▶ 関連記事:持続化補助金の不採択理由・落とし穴

5. 委託・外注費:内訳と成果物で通るかが決まる

委託・外注費は、事業の実施に必要な業務を外部に発注する費用として使われます。ウェブ制作や動画制作、デザイン外注などは、内容次第でウェブサイト関連費や新商品開発費など、別科目に整理されることもあります。迷う場合は「何を作り、何が成果物で、販路開拓のどの部分に効くのか」を中心に科目整理を行うのが安全です。

注意点

・社内の役員、従業員、代表者親族等への発注、関連会社等への発注は対象外になり得ます。
・証憑や成果物(納品物、作業報告、公開URL、掲載実績等)が用意できないと対象外リスクが高いです。

6. よくある「使えない経費」まとめ(横断ルール)

6-1. 交付決定前の発注・契約・支払いは原則NG

交付決定前に発注、契約、購入、支払い(前払い含む)したものは対象外です。例外として展示会出展の申込みは一定条件で認められる旨の注記がありますが、原則は交付決定後と理解してください。

6-2. 通信費・光熱費・消耗品は原則NG

電話代、インターネット利用料金等の通信費、光熱水費、敷金や仲介手数料、消耗品(名刺、文房具、インク、用紙、梱包材など)は対象外例として明示されています。

6-3. 仕入、通常運転費用、既存更新はNG

販売商品の仕入、老朽化機械の取替え、応接室ソファや事務机など、通常の事業活動として扱われるものは対象外です。

6-4. 有料教材や電子書籍出版など「販売物の制作」はNGになりやすい

塾教材の制作や電子書籍出版に係る費用は対象外例として示されています。

ウェブ関連でも、有料配信動画や有料講座用教材の制作は対象外例として挙げられています。

6-5. 申請支援等の手続費用は補助対象外

補助金応募書類や実績報告書等の作成、送付、手続きに係る費用は補助対象外とされています。
ここは誤解が生まれやすいので、支援サービスの提供側としても、顧客説明の際に線引きを明確にしておくとトラブル予防になります。

7. 目的別のおすすめ組み立て例(経費の通し方)

7-1. ウェブを軸にしたい場合(4分の1ルール対応)

・機械装置等費:提供品質を上げる小型設備(例:ショーケース、試作機器など)
・広報費:紙のチラシ、業界紙広告、看板など
・ウェブサイト関連費:LP制作、SEO実装、バナー広告、PR配信

ウェブ関連費が補助金交付申請額の4分の1を超えないよう、広報費や設備と組み合わせて設計します。

7-2. 店舗集客を伸ばしたい場合

・広報費:チラシ外注、DM発送、看板設置
・機械装置等費:回転率や満足度を上げる設備(例:ショーケース、厨房機器など)
・委託・外注費:デザイン外注、撮影、制作(成果物が明確な形で)

7-3. ECの売上を伸ばしたい場合

・ウェブサイト関連費:ECサイト構築、商品登録作業費、モール利用料、SEO実装
・広報費:紙媒体の同梱チラシ等は「配布実績」が説明できる範囲で
・新商品開発費:パッケージデザインの試作や改良(使い切り、受払簿等の運用も意識)

▶ 関連記事:持続化補助金の実績報告・精算手続き

8. 申請前にやっておくと強いチェックリスト(行政書士の実務目線)

8-1. 科目より先に、目的と成果物を言語化する

・誰に、何を、どの導線で届けるか
・補助事業の成果物は何か(チラシ、看板、LP、動画、設備、パッケージ等)
・成果物が「販路開拓」にどう効くか(新規客、客単価、リピート、問い合わせ率など)

8-2. 見積書は内訳が命

「支出内容が不明確なものは認められない」ため、見積書の段階で内訳を切り、科目分けできるようにします。

・ウェブ制作一式ではなく、ページ、機能、作業内容を分解
・動画制作も、尺や用途、納品形式、公開先を明記
・チラシは、デザイン、印刷、発送、配布などに分解

8-3. 公開・配布・掲載の証拠を残す

補助事業期間内に「公開に至らない」ウェブや動画は対象外例です。

・公開日が分かる画面キャプチャ
・掲載媒体の掲載証明
・配布完了報告、DM発送記録
・看板設置後の写真

8-4. 対象外経費を混ぜない

消耗品、通信費、PC類、金券、飲食、接待など、対象外例が明示されています。
見積や請求に混ざると精算で切られやすいので、最初から分離して発注します。

9. まとめ

持続化補助金の経費は「科目に入るか」だけでなく、「販路開拓等に直結するか」「交付決定後の支出か」「証拠で説明できるか」で通るかが決まります。特にウェブサイト関連費は、単独申請不可、申請額が補助金交付申請額の4分の1までという制限があるため、広報費や機械装置等費と組み合わせ、成果物と効果が説明できる形に落とし込むことが重要です。

一方で、パソコン等の汎用機器、消耗品、通信費、金券、接待、申請手続費用などは対象外例として明確です。

最終的には、計画の目的と成果物、証拠の取り方まで含めた設計が採択後の精算トラブルを減らします。経費の組み立てで迷う場合は、最初に「誰の何をどう変える施策か」を一枚に整理し、そこから科目と見積内訳に落とすのが、最短で確実な進め方です。

なないろバックオフィスでは、小規模事業者持続化補助金の事業計画書(様式2)の作成から、経費明細(様式3)の整理、採択後の実績報告まで、行政書士2名体制でサポートしています。 飲食・小売・サービス業・建設業など幅広い業種の支援実績があり、Webサイト制作から機械装置導入まで多様な補助事業に対応しています。 お困りの際は、お問い合わせフォームLINEメールよりお気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

古森 洋平
行政書士古森 洋平

銀行・投資銀行での法人向け実務経験を経て、行政書士として従事。
正確性とスピードを重視し、申請から実績報告まで一貫支援します。

行政書士MSc基本情報技術者

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